学力テストは合計50点台です。当然何も分かりません。彼女の話を聞いていると、しゃべっている途中で何を言いたかったのか忘れるらしく、良く話が止まったり、違う話に変わったりします。
彼女に質問しても聞き取れていない(言われた事が理解できていない)ので、見当違いの返事をします。それがどれだけずれているかを本人は気が付きません。今の会話を一言一句解説して説明しても自分の返事が変だとは思っていません。
滑稽に感じるかもしれませんが、釧路商業、釧路工業、釧路東を目指す生徒の大半はおおよそ、このような感じです。大人と会話が成立しません。
やっぱり滑稽ですよね。学校でもどうにもならなくなったから塾に来ているはずですが、こうやって私に嘘をつくのです。彼女自身に嘘をついている自覚はありません。それが分かったので説明しました。
「あなたの行動は自分がどう思っているかは別にして、結果として他人に嘘をついています。
そのあなたの様子を見て私は間違った判断をしてしまいました。
出来ていると思ったのは友達が答えを教えてくれたからで、あなたの実力ではありませんでした。
あなたに対してもっと疑うべきでしたか。私は人を信じる事から始めます。
その信用をあなたは裏切ったんですよ。
どう思っているかは別にして、そういう結果になる行動をあなたはしたんです。自分の味方になっている人に嘘をついて何か得しますか。
あなたは冬休みと言う貴重な時間を棒に振ったんですよ。その責任は誰でもないあなた自身が一生背負うかもしれないんです。
そうならないように私も全力を尽くしているんです。
きっと今までも周りの大人に対してそうしていたんでしょ。
だから誰もあなたに何も教えてあげられなかったんです。あなたが嘘をついたのと同じ行動をするから。」
学校では教室一つが一単位です。個人が一単位にならない時があります。学級単位でものを考えるので、生徒一人ひとりの行動原理は先生には見え難いです。 だから生徒には自分を主張する力を持って欲しいのです。それは社会に出たら絶対に必要なスキルで、それを意識させるのも未来プランナーである私の仕事です。
彼女の行動原理もテストで間違えて点数が悪いから怒られた経験があり、それを隠そうとするところから始まっています。
いつの間にかそれが特別ではなくいつもの事になっていたのです。
「疑うべきでしたか」と、言ったくらいのところで泣き出しました。理由は今でも分かりません。あえて聞いてもいません。タイプは違いますがやはり日本語を使いきれていないので、言葉を選べないのでしょう。ヒックヒック言って泣きました。
彼女も2月の学力テストも合計約60点でした。
入試まで2週間しかありません。でも次の日からここが分からないと間違えたところを持って来るようになりました。
3年生にとっては1年生の時の勉強なんて簡単に覚えられるもののようです。
彼女にとって、とても高い、高いハードルを越えたようです。 その経験を何時までも忘れないで欲しいです。