まずは算数と数学との違いから始めました。
算数は「日本人が日本で生活する時に便利な計算の勉強」です。
数学は「数の学問」です。学問ですから日常生活に役には立ちません。しかし私達の周りにはコンピュータだらけですので、数学の恩恵はたくさん受けています。
簡単に比べると
「算数は役に立って、数学は役に立たない。」
「算数は+の数字だけで、数学は-の数字も増えます。」
この2つの話をしました。
納得してくれたようですので、次回から正負の数を始めます。
令和3年12月某日、IQ70の生徒のお母様と面談を行いました。
この生徒は5年生の秋から通ってくれていて今年中学校に入学しました。ここでは愛称として「さつきちゃん」とします。
特別支援級なので一般的な高校入試対策の勉強は必要ありません。新学期は生徒の好きにさせていましたが、夏休み明けから中1向けの英語の一斉授業を始めたので無理やり参加させました。出席率は良く部活動の時間と重らない限りきちんと授業に来ました。
当教室で導入している「すらら」を使った勉強も、分からなくても途中で投げ出さないのが、さつきちゃんの特徴でしたが、4月から始めた「すらら」の数学は15分で止めてしまいました。相当大変だったのだろうと私も受け取り、「すらら」を使った勉強は止めました。だからしばらくは生徒の好きにさせていました。
英語の授業を始めて2ヶ月が経った頃、さつきちゃんに変化が見えました。
この授業は中1の教材を使って英語が苦手な中2、中3も一緒に受けさせています。英語が不得意な1番の原因は一般動詞の文とbe動詞の文の区別が出来ない事、2番目は主語と動詞を見極められない事なので、中1と一緒に勉強させていました。
参加している生徒達は2ヶ月経っても動詞の区別は出来ないし、主語と動詞も見分けられません。それどころか覚えて来いと言われていないから英単語を覚えていない始末です。だから授業での話し方を変え、必要な事は全部言って伝え、動詞の見分ける事と主語と動詞をに付ける事が一番大事だと毎回話し、毎回質問しました。その質問に最初に答えてくれたのがさつきちゃんです。
IQ70と言うと年齢に×0.7程度の事しかできないという意味です。13歳の彼女は9歳程度の事しか表に発揮出来ません。その彼女が一番最初に私の質問に答えられるようになったのです。他の生徒の中には発達障がいがない生徒ももちろんいます。
さつきちゃんは元々割り算が出来ないと言って入塾しました。
学校で3年生から習って、塾にも通って、1年半かかっても身に付きませんでしたが私の教室に通って1カ月半程度で大体出来る様になりました。本人の頑張りはもちろんですがこれが私の指導力で、さつきちゃんへの合理的配慮の結果です。
ここでIQ70の正体はテストが出来ないだけで、勉強した事は覚えているのかもしれないと仮説を立てました。そこで次の指導に移行したかったのでお母様との面談をしました。
以前からお母様からはさつきには普通の幸せな生活を送って欲しいと言われていました。だから改めて確認しました。ここからは未来プランナーの仕事です。
提案した人生設計は3つ。
1.特別支援学校を卒業
問題点:高校卒業の資格がないので専門学校入学も資格試験の殆ども受けられない。
2.定員割れの公立高校受験
問題点:入学出来ても赤点で卒業出来ない可能性が高い。(さつきちゃんのテストが出来ない特性の為)
3.特別支援学校に通いながら通信制高校を利用して高校卒業を勝ち取る
問題点:私の教室は高野山高校の広域通信課程のサポート校なのでレポート提出までは私がサポート出来ても、最後の期末試験で赤点の可能性も有る。
どれも一長一短なので簡単には決められませんが、お母様は最もハードな2番を挑戦する事にして、入試までに成長が間に合わなければ順次変更すると決めました。それで私と一緒に数学のチャレンジを始める事にしたのです。実際は数学だけでなく主要5教科は全部私が教えます。これから6年間のチャレンジが始まりました。
さつきちゃんの様子は日々ブログにアップします。ご興味がある方は注目して下さい。
証明問題が解けないと合格ラインに達しないのは釧路では湖陵高校だけです。
この証明問題こそ数学です。
大学受験では全て証明問題だと言いきっても過言ではありません。
中学時代に十分訓練を積むのは湖陵受験者だけなので、国公立や理系全般の進学に強いのは湖陵だけなのはうなずける話です。
この証明問題、文章を数式で表す問題です。
文章なので国語力です。
数学の基礎知識が必要なのは言うまでもありませんが、答案を構築する力は国語力です。
高校受験の場合、誰でも1点を必ずとれる指導は出来ます。
完全解答をするためのコツもあります。
出来るようになりたい人は私の教室で一緒に勉強しましょう。
小4までは足し算、引き算、掛け算、割り算の仕方や、整数、小数、分数とはどういう数字かの勉強をしてきました。
小5からはそれらを使って式を立てる勉強に変わります。
問題が解けずに悩んでいたら聞いてみて下さい。
「どこが分からないの?」
「式が分からない。」
こう答えてきたら大人は我慢です。
どう式を立てるのがか考えるのがここでの勉強です。
やり方を教えたら思考力を養えません。
「言い訳を許さない。」 http://tsukimigakudo.sakura.ne.jp/blog/?p=180 の時に少しお話ししましたが、出来ない言い訳を言い出す生徒もいます。
ここはじっと我慢で、出来るまで根気強く待ちます。
どれだけ待てるかが勝負どころです。
子供が頑張っている時は大人こそ一緒にもっと頑張りましょう。
単位には長さ、重さ、かさがあります。
小数が苦手な生徒には是非単位変換の勉強をお勧めします。
1mが100cmなのは大抵知っています。
でも1cmが0.01mだとは考えがたどり着きません。
その生徒にとって0.01は0.01であって、1の100分の1ではないのです。
ご家庭でも十分出来る勉強です。是非子供と一緒にチャレンジしてみて下さい。
出来ればそこで1ダースを教えて下さい。
鉛筆を一本単位で買ったり、シャープペンシルを使わせずに、単位の勉強に生かして下さい。
これを覚えていると小5の割合の勉強が教えやすくなります。
私の教室ではそれを教える為に3ダースの鉛筆を常備していて、生徒が忘れたときに貸す鉛筆と別にしています。
「計算をよく間違うんです。」とは、算数、数学を苦手とする生徒のご両親からよく聞く言葉です。
子供と話してみて下さい。大抵は計算方法を理解しています。
だから原因は他にあります。
「字を大きく書きましょう。」と、初級編その1でお話ししました。
http://tsukimigakudo.sakura.ne.jp/blog/?p=74
初級編その2でもお話ししましたがもう少し詳しくお話しします。
十分な練習を重ねるだけです。学校の宿題程度では絶対足りません。
有名な小学生向け算数教室では反射神経で解くようになるまで計算を繰り返します。
だから間違えないようになります。
これは大変重要な事です。
算数、数学は計算を間違えてはいけないのです。
なぜなら「問題を読んで考えた」結果を計算として表しているからです。
「問題を読んで考える」事が主役で、計算は道具にしかすぎません。
社会では銀行員や商社マンは絶対電卓を使います。
測量も昔は手計算していましたが今はデータ入力をするだけで、コンピュータが自動計算してくれます。
「考える」事が人間の仕事で「計算する」のは道具が行う事です。
文章問題が解けないのは別な理由です。
それは別なカテゴリーでお話しします。